「もし私が教師だったら、自分に次のような質問をするだろう」
①成長を続け、学習している人の内側に私は入ることができるでしょうか。私は批判的な態度にならないで、この世界を理解することができるようになるでしょうか。
②私自身、このような若い人びととの関係の中で真の人間となり、共に学ぶことができるような、心を開いた、自由に表現しあえる相互関係をつくることに賭けることができるでしょうか。このような若い人びととの集中できるグループ関係の中で、私はあえて自分自身になることができるでしょうか。
③私は、個人一人ひとりの興味を見つけ出し、それぞれが好きなようにその興味を追求していくことを認めることができるでしょうか。
④私は、若い人びとが自分でもっとも大切にしているもの ━︎━︎━︎━︎ 自分自身と自分をとりまく世界について、大きく目を開き、粘り強く激しく好奇心をもやすこと ━︎━︎━︎━︎ を、持続することに援助できるでしょうか。
⑤人間や経験や書物といったあらゆる種類の資料 ━︎━︎━︎━︎ それは彼らの好奇心を刺激したり関心を高めたりするものですが ━︎━︎━︎━︎ に若い人が触れられるようにする場合、私は創造的になりうるでしょうか。
⑥創造的な学習や活動の前触れともいうべき、奇妙なまとまりのない考えや、激しい行動や表現を、私は受容し育てることができるでしょうか。このような創造的な考えを生み出す、ときには風変わりな人格の持ち主を受容することができるでしょうか。
⑦若い人びとが統合された人間 ━︎━︎━︎━︎ 感情が知性に、知性が感情にゆきわたり、そしてその表現が全人の表現となるように私は援助できるでしょうか。
もし何か奇跡でも起こって、私がこれらの質問のほとんどに「イエス」と答えることができるならば、私は真の学習の促進者(ファシリテーター)であり、若い人びとの大きな可能性をひきだすお手伝いができるだろうと信じています。
━︎━︎━︎━︎ 206〜208ページに記載
『カウンセリング』の基礎を創ったカール・ロジャーズは、自らの療法を「仮説」とするくらい、「クライエント中心」でした。
その思いが終生変わらなかったのは、クライエント中心療法がつくられる契機となった、当時の思いに見ることができます。
『何がその人を傷つけているのか、どの方向へいくべきか、何が重大な問題なのか、どんな経験が深く秘められているのか、などを知っているのは “クライエント自身” であるということです』10ページに記載
人の心は移ろいやすくわからないので、いつも忘れないでいたいと思います。
「ロジャーズ クライエント中心療法[新版]」佐治守夫・飯長喜一郎編著/2014年刊/有斐閣/244ページ/1,500円+税
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