本書は主に小中学生のうつについて解説されています。臨床心理学の視点から問題解決のアプローチを知るひとつの参考になるとは思います。
まだ、つらさを言語化したり表現しづらかったりする年頃の子どもさんは、体調をくずしたり学校に行きたがらなかったりして、苦しみのサインを親御さんに出します。
ただ知識がないと「うつだ」なんてわからないですよねなんか調子がいつもと違うなとか、ぐずってるなとか、口数少ないという感じで、親御さんも忙しいからなかなか子どもさんの様子を観察し続けるって難しいのかもしれません。成長期や思春期という時期もあってよくわからないのかもしれません。
うつの改善策として、休養ベースで認知行動療法をすすめています。程度によって薬の必要性も考えなければなりませんが、副作用の問題もありますし、子どものころから薬を使うってどうなのかなとボクは思います。
それに本書に、書かれているような発達障害の可能性を検討することも大事なんですけど、枠組みに当てはまらないのが子どもなので(本来人間ってそうでは?)、問題を問題として捉えるのか、問題ではなくその子の良さを伸ばしていくのかと考えるのかで育て方も大きく変わっていくと思います。
実際には、自閉や多動、学習に難があったり運動が苦手など、集団のなかで浮いてしまうことがあると本人がつらいので、その気持ちに寄り添って励ましてあげる必要があります。
本人が一番混乱して不安に思うから、「あれ?どうしたんだろう」「なんかいつもと違う」と子どもさんの様子を見て、まず注目するのが大事です。
他と比べて良い悪いで判断したり、親御さんの価値観で叱らないでください。子ども時代の傷つき体験は大人になっても生きづらさを根深く残します。子どもの人生を左右します。自分の感情をぶつけたくなるときもあると思いますが、できるだけ言い方に気をつけたいところです(親も人間。抱えきれないこともある)。
ボクとしては、親御さん以上に子どもさんを回復させてあげられる存在はないと言いたいです。
うつは本当につらいです。しんどいんです。お腹こわしたり布団から起き上がれなかったりします。
それでも学校に気力を振り絞って行く子のことを思うと胸が痛いです。
だから会話とスキンシップが大事です。一緒に過ごす時間がなによりの癒しになります。
親にハグされる幸せや喜びに勝るものはないんです。優しいことばで、親のいつも変わらない温かみが子どもの心を育みます。
理屈で子どもを何とかしないでください。子どもはめちゃくちゃ感じていますし、大人の想像以上に大人を見ています。あなたがそうだったように。
「子どものうつがわかる本 早く気づいてしっかり治す」下山晴彦監修/2020年刊/主婦の友社/127ページ/1,500円+税
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