より知っていただくために

アダルトチルドレンについてのブログ


 

 

今回は夫婦生活でお悩みのクライエントCさんのお話をご紹介します(了承済)

 

 

 

「私の主人は仕事依存でいつも帰りが遅く0時を過ぎることもザラです。私たちには子どもが二人いて、恥ずかしいんですがデキ婚でした。主人とは職場結婚で、最初は頼れる上司っていう印象で結構イケメンで(笑)背も高くなんとなく目がさみしそうな感じがして、今思えば私が一目惚れだったんだなって言う気がします。最初の1年くらいはすごく優しくて、こんな男の人が世の中にいるんだろうかって疑いたくなるくらいに大事にされたのを覚えています。すごく幸せで・・・・そうこうしているうちに長男ができて結婚することになり、私は家庭に入りました。彼の希望だったんです。私は私なりに仕事がんばってたから本当は辞めたくなかったんですけど、仕事に打ち込んでる主人を支えて上げられるのは私しかいないって自分に言い聞かせて専業主婦になりました。そして長男が生まれ2年おいて長女ができて私は毎日自分のことなんかに構ってるヒマなんてない生活を送り続けていました。今振り返ればそれがイケなかったんですけど・・・・それから7年経って育児が少しずつ落ちついてきたときに、ハッと気づいたことがあったんです。主人の帰りが遅いって。子どもが小さかったころは、もう本当に私は毎日必死で朝起きたと思ったら次の瞬間には夜になってるなんて日々で、主人に意識を向ける余裕なんて一切なかったんです。今にして思えば、だんだん主人の帰宅が遅くなっていっていて、私たち夫婦の会話がほとんどなくなっていることに気がついたんです。でも認めたくなかった。だって私は私なりに毎日必死でしたから主人がまさか浮気してるだなんて思わないじゃないですか。ごくたまに帰宅が早くて晩ごはんに付き合うことができても、会話ないんですよ。沈黙っていうんですかね、私もなにを話せばいいかわからなくて、でも頭の中では主人にいっぱい話してるんです。それは主に不満や愚痴なんですけど、彼はまったく私の顔も見ようともせずにテレビを観たりスマホを気にしたりしてたんです。あの時私が偶然スマホに表示されたLINEのメッセージを目にしなければ・・・・本当にこんな苦しい思いを毎日することなく、無関心で過ごしていられたのにって・・・・彼はまったく育児に参加してくれませんでした。今もです。子どもを一度もお風呂に入れてくれたことはなく、子どもたちに全然興味がないように見えるんですよね。それも腹が立ちますし・・・・どうして?どうしてって思うんです。もしかしたら浮気はもう何年も前から始まっていて、帰りが遅いのは浮気相手と過ごしてるから?でもそのクセ主人はそんな様子はまったく出さず仕事が忙しいとしか言いませんし・・・・だけどあのLINEが・・・・いや、私にしてみれば家事や育児をすることで主人を支え続けてきた自負がありますし、こんなに必死になってやってきた自分がなんか惨めっていうか、いや、何が悪かったの?どうして私だけがこんなつらい思いしなきゃいけないの?アンタは好き勝手に他の女のところで遊んで何事もなかったかのように帰ってきて、また出ていく・・・・私は体の良い家政婦か何か?それともアンタのお母さんなの?って言いたいことは山ほどあるのに、いつも帰りは遅いし話しかけようとしても私のこと無視するし、1年に1回くらいカラダを求めてきますけど、私はゾッとして怒りで吐きそうになって私はアンタの性のはけ口じゃないってお腹のなかが煮えたぎってくるみたいになるんですけど一応演技しちゃって・・・・終わったあとになんか情けなくなってきちゃって泣けてきて、私なにやってんだろ?って思って・・・・だけどどうすることもできなくて、自分がないような、もう消えてなくなりたいって思うっていうか・・・・気がつけば体重が10キロくらい落ちていて、お酒が止められなくなっていました。もうどうすればいいのかわかりません」

 

 

 

10キロもおやせになったのですか・・・・

 

 

 

「あっ、はい。だけど主人は私がこんなになっても何も言わないんです。健康だけが取り柄だった私が、10キロやせちゃった・・・・先生、私って病んでるんですかね?なんかおかしいのかな・・・・子ども達は以前より手がかからなくなってきているから、日中は割と時間があるはずなんですけど、なんかやる気がでないんですよね・・・・なんていうか、自分のなかがからっぽっていうか、何もないっていうか・・・・最近は特に頭があまり働かないから今イチよくわからないんですけど、主人がまったく私に対して興味がないんだなってことはハッキリしていて・・・・(突然泣く)なんで?なんで私ばっかりつらい思いしなきゃいけないの・・・・」

 

 

 

大丈夫ですか?Cさん

 

 

 

ティッシュで顔を覆っている。約3分ほど沈黙。

 

 

 

「(鼻をかんで)わ、私がいくら主人に尽くしても、主人は何も返してくれないんです。うん、しか言わないんです。私に限らず普通は何かしてもらったらありがとうとか自分ができなかったらごめんねとか言うじゃないですか。だけど、主人は一切、本当に一切何の反応もないんです。してもらって当たり前、やってあって当然っていう態度で、まるでホテルかになかに泊まってる客みたいなんです。一度聞こえるように客かってつぶやいたんですけどテレビ観てました。・・・・ああ・・・・ホントどうしてこんなことになっちゃったんだろう?最初は私、今度こそ絶対幸せになれるって思ってたのに・・・・今度の彼は、絶対に私のこと幸せにしてくれるって思ってたのに・・・・一度だけ結婚前に君のこと必ず幸せにするよって言ってくれて、私ホワ~ってなったのに・・・・今は・・・・なにもない。何にもないんです先生。私このままおかしくなっちゃうんでしょうか?」

 

 

 

Cさんは、今、ご主人のお帰りが遅いことを気にされているのですね。

 

 

 

「違います!そんなことはどうでもいいんです!!主人は裏切ったんです!!嘘つきです!私と子どものことをないがしろにして自分は何の責任も負ってないんです!!こんなことが許されますか?だって私のこと幸せにしてくれるって結婚する前に約束したんですよ?おかしくないですか?結婚ってそんなもんなんですかね?約束って大事じゃないんですか?破っても平気でいられるんですか?平然と人の人生狂わせて自分は好き勝手やって、私はなんかゴミ箱みたいな扱いで・・・・もう!もう!もう!腹が立って仕方ないです!!だって私にだって夢あったんですよ?女だから夢は諦めて家庭に入って旦那の世話しなきゃいけないって誰が決めたんですか?そんなのおかし過ぎませんか?こんなに私が尽くしてるのにアイツは何もしてくれないんですよ!?頭オカシイと思いますよ。尽くして尽くして7年経ってみたら、私には何も残ってなくて、自分はカラっぽになって痩せてこのままひからびて死んでいくんですか!?・・・・そんなの・・・・そんなのおかしすぎます・・・・まるで父みたい・・・・」

 

 

 

お父様、ですか。

 

 

 

「父・・・・あ~ヤダ、こんな話するつもりじゃなかったのに・・・・父の話しなきゃいけないですか?」

 

 

 

Cさんの好きなようにお話ください。話したくないことは話さなくて大丈夫です。

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

5分沈黙。視線をカウンセラーから外し、天井なのかカーテンなのか宙をみつめているようで時折、表情が険しくなったり少し笑みのような緩みが見受けられたりタメ息をついたりしている。

 

 

 

「そうですよね。この話をしないときっと前に進めないんですよね、私。・・・・そうなんです、私、・・・・父にイタズラされてたんです。・・・・父っていっても義理の父なんです。本当の父は私が3歳のころ亡くなってしまっていて覚えてないんです。でもアイツは、・・・・アイツのことは、憎んでも恨んでもキリがないんです・・・・殺してやりたいくらい憎んでます。ずっとずっと今まで生きてきて、誰にも話したことないんです。母にもです。っていうか、母はわかってたんです。でも私をいけにえにしたんです。私には意味がわからなかった。どうして助けてくれないのか・・・・みて見ぬフリをし続けて、結局、私が高校から寮生活をするようになったんで、実家を出れたからこのことは終わりましたけど。でも、実家に帰るのが苦痛で苦痛でたまらなかったんですね。盆正月とかもう本当無理で、アイツと同じ空気吸わなきゃいけなくて、何事もなかったかのようにしてなきゃいけなくて、私ひとりが我慢を強いられてて、なんで?なんで?なんでこんなおかしいことが許されるの?コイツら頭おかしいんじゃないの?ってずつとずっと今でも思ってます。」

 

 

 

そうなのですね・・・・よくお話してくださいましたねCさん。今、お気持ちは大丈夫ですか?

 

 

 

「・・・・大丈夫、・・・・じゃないです。ああ、・・・・話ちゃった・・・・ずっとずっと言えなかったんです。私の大事な秘密だった・・・・ああ・・・・なんだろ?今思ったのは、もしかしたら私もアイツらと同じで、頭オカシクなっちゃったのかな?」

 

 

 

 


 

 

今回は、母親に苦しめられていると訴えられていた、元クライエントFさんのカウンセリングをご紹介いたします(了承済)。「母親に自分の人生を潰された」と言われ、恨んでも恨みきれないと仰っていました。

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

お母様のことを恨んでいらっしゃる、と

 

 

 

「はい。私は母に人生を潰されました」

 

 

 

潰された・・・・

 

 

 

「恨んでも恨みきれません」

 

 

 

恨みきれない、とお思いなのですね・・・・

 

 

 

「はい」

 

 

 

(表情はこわばり背筋がピンと伸び、両手を膝の上に置き右手を左手にそっとかぶせている。首元からスッと伸びた首筋には丸首で白のワンピースが少し不自然なくらいに映えていて、薄黄色のパステルカラーのカーディガンを羽織っている。季節は初夏である。透き通るような肌はやつれ、瞳は熟れたマンゴーのようでもある)。

 

 

 

恨み・・・・

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

6分の沈黙。その間Clは背筋を伸ばしたままで肘から先だけを動かし供されたティーカップに手を伸ばしたが止めた。

 

 

 

「・・・・どうやったら母を殺せるか考えているんですよ」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「あの人は、万死に値するんです。私には姉がいたのですが、今は病院にいます。母のせいなのです」

 

 

 

お姉様は入院なさっているのですね

 

 

 

「いえ。違います。病院にいるんです。母のせいで病院に住まなければならなくなったのです」

 

 

 

ごめんなさい、入院ではなく「いらっしゃる」のですね。それはお住まいになっていると・・・・

 

 

 

「そうです。よく聞いてくださいね。母もそうやって私の話をいい加減に聞くから子どもである私や姉がつらく苦しい思いをしなければならないのです。人の話を聞くときは、誠実に真摯に襟元正して聞かなければなりません。村上さんのような方であれば、それくらいの人としての基本はできていると思っていましたが、少し失望しました」

 

 

 

申し訳ございません。Fさんに失望したと仰っていただくような受け答えをしてしまいました。お詫びいたします。

 

 

 

「そうですよ。それくらいの、せめて言葉だけででも人に対して誠実さを表すような態度でなければなりません。まっ、どうせ時間が経てばその取り繕った表面的な誠実さのようなものは剥がされるのですけれど」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「で、私は何を村上さんにお話すればいいのですか?」

 

 

 

ご質問ありがとうございます。この時間はFさんのために用意された時間ですから、何でもお好きなようにご自由にお話ください。私には守秘義務がございますので他所に漏れることはございません。どうぞご安心ください。

 

 

 

「あなたのことをどうやって信用すればいいというのですか?」

 

 

 

信用

 

 

 

「そうですよ、信用です。自分が胸に秘めた積年の思いを打ち明けるには、相手に対する信用が必要でしょう?それが今日初めて会ったあなたに話すだなんて、とてもじゃないけどできません」

 

 

 

そうですよね。Fさんが仰る通り積年の思いをお話いただくには、私との間に信用が必要ですね

 

 

 

「そうですよ。当然ではありませんか。そんな常識を繰り返されても私困ります。カウンセリングだからと言って、私が話さなければならないという決まりはないのでしょう?それを、さも話すのが当然だという態度で臨まれても困惑します。どうにかならないのですかそのいかにも聴きますっていう態度」

 

 

 

ご不快な思いをされているようでしたら申し訳ございません。誠心誠意、Fさんのお話をお伺いさせて頂きたいと思っております

 

 

 

「だ、か、ら~!私はひと言も不快だなんて言っていないじゃないですか。そんな言い方されたらまるで私が悪者みたいじゃないですか。そんなに私を病人にしたいのですか?」

 

 

 

とんでもないことです。Fさんは悪者でも病人でもありません

 

 

 

「じゃあ一体私は何者なんですか?」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えてください」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「ほら、黙る。そうやって困ったら大人はみんな黙るんでしょ。そうやって物事の本質を見極めようとはしないで、うやむやにして、弱い立場の人間がいつも泣き寝入りしなければならないのよ。あなたも同じなんでしょ?またそうやって私のことをないがしろにしようとするのでしょう?」

 

 

 

ないがしろにだなんていたしません

 

 

 

「しているじゃない。私のことを責めようとしているじゃないですか。私の姉もそうやって頭がオカシイ大人たちに責められて、出口のない迷路をさまようことになったのです。私がどれだけ姉のことを正気にしようとしてもダメなのです。姉は帰ってきません。今ではすっかり病院の住人となってしまいました。姉のことも相談したくて村上さんのところにやって来たのに、あなたも気が狂った大人たちと同類なのかと思うと残念でなりません」

 

 

 

お姉さんは帰って来られないのですね

 

 

 

「そうです。姉は子どものころから毎日、母に責められ、辱められ、全責任を負わされて生きなければなりませんでした。姉が病院住まいになったことで、暇を持て余した母は、今度は私をおもちゃにしようとしました。村上さんも私のことをおもちゃにしようとしていますね?違いますか?」

 

 

 

違います

 

 

 

「じゃあ何なのですか」

 

 

 

私はFさんのお話をお伺いしたいだけです

 

 

 

「だ、か、ら~!私が話せるようになるには何が必要なの?」

 

 

 

信用です

 

 

 

「そうでしょう?同じ事を何度も言わせないの。あなたって、もしかしたら頭悪いんじゃないのかしら。一度脳神経外科にでもかかったらいいわ。まっ、元から頭オカシければどうしようもないけれど。ねえ、そう思わない?」

 

 

 

そうですね。Fさんのお話をしっかり伺えない私は頭がオカシイのかもしれませんね

 

 

 

「まっ!珍しい。あなた自分が頭オカシイって認めるの?私の姉のように認めるの?もう自分が一体何者でどこに向かっているのかわからず、普通の生活ができないということを認めるの?」

 

 

 

私は普通だと思っていますが、Fさんからご覧になって私が普通でないなら、私は普通ではないのかもしれません

 

 

 

「そうよ。あなたには普通で居られるという権利はないのよ。剥奪、いや搾取されるのよ」

 

 

 

搾取、ですか

 

 

 

「あなたには搾取されている自覚はないのかしら」

 

 

 

すみません、自覚はないです

 

 

 

「信用もない、搾取されているという自覚もない、ないないない。村上さんってカウンセラーとしてダメなんじゃないですか?そんなダメな人間が世の中に溢れているから、私の姉のような被害者が出るのよ。わかります?」

 

 

 

被害者、ですか

 

 

 

「そうよ、被害者でなかったらなんだっていうのよ。私の姉が被害者でなかったら一体何者だってあなたは言いたい訳?」

 

 

 

世界にひとりしかいないFさんのお姉さんです

 

 

 

「当たり前じゃないの、世界にひとりしかいないって。それがわかっていて、なぜ大人たちは無関心を装うのかしら。あなたたちのように他人に敬意を払わず、隣で困っている人がいても関心を払おうとはせず、嘘で築き上げられた虚構の世界で嘘まみれになっていることに気づかず、自分が人様に迷惑をかけているという認識もないままヘドをまき散らしながら生きている狂った大人たちが、姉のような生きる屍をつくり出すのよ。その自覚がないあなたたち大人が、この狂った世界をつくりだしているのよ。その自覚がないっていうの?」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えて」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えなさい」

 

 

 

私はFさんに関心があります

 

 

 

「だ、か、ら~!私はそういうことを言ってないの!!自覚はあるのかないのか聞いてるのよ」

 

 

 

もし私が、虚構の世界の住人なのであれば、私が言うことばがFさんにとって害にならないかと心配になりました

 

 

 

「あっ、そう。わかっているじゃない」

 

 

 

「あなたのこと、少しだけ信用して上げてもいいわ」

 

 

 

ありがとうございます。Fさんに信用していただけるなんて嬉しいです

 

 

 

1ミリだけね。ふふふ」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「さっ、1ミリ分だけ信用して上げるのだから、もっと私から信用されるように考えなさい」

 

 

 

信用・・・・

 

 

 

「そうよ、信用。あなたはカウンセラーという仕事を通じて人から信用を獲得しなければならない立場なのでしょう?それは言わばあなたの務めでありあなたが達成しなければならない課題なのではないかしら?」

 

 

 

はい、Fさんの仰る通りです

 

 

 

「ねっ、そうでしょう。あなたは意外と物わかりがいいのね。早く私の気持ちを軽くしてごらんなさい。あなたは心理カウンセラーなのだから人の心が手に取るようにわかるのでしょう?」

 

 

 

手に取るようにだなんてわかりません

 

 

 

「あらっ!?今何て言ったの?」

 

 

 

手に取るようにだなんてわかりませんと言いました

 

 

 

「えっ!?もう私の期待を裏切るっていうの?やっぱりあなたも頭がオカシイ大人なのね?」

 

 

 

Fさんが仰る「頭がオカシイ大人」とはどのような感じなのでしょうね

 

 

 

「ええっ!?ついさっき解説して上げたじゃないの?聞いてなかったの?」

 

 

 

すみません、私の受け取り方に間違いがあっては、それが原因でFさんに害を与えてしまうのではないかと私は怖れてしまって・・・・

 

 

 

「まぁ!あなたそれでもカウンセラーなの?本当にそれでも心理を扱うカウンセラーだって主張するの?」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えて」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えなさい!」

 

 

 

はい、心理カウンセラーという仕事をさせて頂いております

 

 

 

「まぁ!!あきれた!!あなた人が真剣に話している内容を聞けていないだなんて恥ずかしいったらないわ!あなた今すぐカウンセラーの看板外しなさい。クズよ!害でしかないわ!!」

 

 

 

申し訳ございません。重ねてお詫びいたします

 

 

 

「全然謝罪してるっていう気持ちが伝わってこないわ」

 

 

 

申し訳ございません

 

 

 

「ダメね」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「そうね・・・・取りあえず、土下座でもしてみる?」

 

 

 

はっ、土下座、ですか

 

 

 

「そうよ。あなたは土下座して私に謝罪する勇気はあるのかしら?」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えなさい」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「答えて!!」

 

 

 

土下座は・・・・

 

 

 

「なに?できないとでも言うのかしら。できないのならできない理由を筋道立てて説明しなさい」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「早く!」

 

 

 

私としては、Fさんのお気持ちを受け止めるために信用という目には見えないけれども、カウンセリングでは必須のあたたかい気持ちのようなものを獲得できるように努めていきたいです

 

 

 

「うんうん、それで?」

 

 

 

その過程において、カウンセラーである私はFさんが仰ることばのひとつひとつをできるだけ丁寧に慎重に取り扱う必要があると私なりに考えております

 

 

 

「ふんふん」

 

 

 

ですから、具体的に取り扱うということを説明するなら、言外のつまり、Fさんがまだ仰っていない、もしくはFさんも気づかれていないお気持ちもできるだけ受け止められるように努めていきたいのです

 

 

 

「はっ?何を言っているの?意味がわからないわ」

 

 

 

筋道を立てて考えてみますと、私がカウンセラーとしてFさんのお気持ちを受け止められるように努める上で注意しなければならないのは、Fさんが望まれている受け止め方ができるように探りながらFさんのお気持ちに向き合うことなのではないのかと思っております

 

 

 

・・・・

 

 

 

その向き合う際に、土下座をするという行為の必要性を私は感じません

 

 

 

・・・・

 

 

 

なぜなら今までのFさんと私との間で取り交わされました会話の中で、私が土下座をもって謝罪しなければならないという筋道はないように私は感じます。

 

 

 

「ダメね」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「土下座しかありえないわ」

 

 

 

土下座しかありえないと私に要求されるのですね

 

 

 

「そうよ。今すぐやりなさい」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「やりなさい!!」

 

 

 

・・・・

 

 

 

5分の沈黙。両者は見つめ合ったまま。

 

 

 

「・・・・早くやるのよ」

 

 

 

Fさん、顔色が優れないように見受けられますが、ご気分やお身体の調子に変化はございませんか?

 

 

 

「うるさい」

 

 

 

もし、体調が優れないようでしたらカウンセリングを中断いたしますが

 

 

 

「うるさい、そんなことで中断してたまるものですか」

 

 

 

カウンセリングでは、クライエント様の体調を第一に優先いたします。無理をしてまでも続行する必要はありません

 

 

 

「嫌よ。絶対に止めないわ。だって、やっと見つけたんだもの私のおもちゃ」

 

 

 

おもちゃ、ですか

 

 

 

「そうよ、あなたは私のおもちゃ。なんでも言うことを聞き入れてくれる私の所有物。決定権は私にあるわ」

 

 

 

私はFさんの所有物ではありません

 

 

 

「なにバカなこと言ってるのよ。やっぱり気が狂ったのね」

 

 

 

私はFさんがご自分の力で胸に秘められた積年の思いをお話いただけるように、いつも変わらずカウンセリングを通じてFさんの仰ることばのひとつひとつを受け止めていく者です。言わばFさんと私は対等な立場であると私は考えています

 

 

 

「そんなこと許さないわ。黙って私の言うことを聞きなさい」

 

 

 

Fさん、今日は終了にしましょう。また体調が整われましたら後日お伺いさせていただきます

 

 

 

「嫌よ」

 

 

 

Fさん、顔色が真っ青です。深呼吸をしてみましょう

 

 

 

「嫌よ!!」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

・・・・

 

 

 

「・・・・わかったわよ・・・・お願いだから、私のこと見捨てないで・・・・」

 

 

 

私は、あなたを見捨てたりしません。さっ、深呼吸してみましょう。鼻から息を吸ってゆっくり口からふーっと吐き出して

 

 

 

「フーーーッ」

 

 

 

数回繰り返し落ちついたF。床に向けられていた目線をおもむろに上げた。

 

 

 

「・・・・あれはクリスマスだった・・・・私と母と妹3人で街を歩いていた・・・・周りはイルミネーションが綺麗で、通り過ぎていく人やレストランに見える家族みんなで食事している人たち、お洋服を楽しそうに眺めているカップルが、妙に不自然に見えた。母はまったく喋らず黙々と歩いている。私はまだ幼い妹の手を引いて、母に置いていかれないようにがんばって少し小走りになりながら付いていっていた。もちろん私たちにクリスマス・プレゼントはない。次の日学校でクラスメイトが喜々として嬉しそうにもらったプレゼントについて話す顔が目に浮かび、憎くてたまらなかった。悔しかった。なぜ、私はこの親、この母親を選んで生まれてきてしまったのだろう、と。自分という生命を呪った。いたぶり八つ裂きにして火あぶりにしてもまだ足りない。自分を殺したかった。憎くて憎くて腹の底から憎悪がこみ上げてくる。この畜生から生まれてしまった私はなんだ?このクソまみれで生きる価値のない世界になぜ産み落としたのかと千枚通しで目を刺し目玉をくりぬきたかった。もし許されるのなら母を細切れに刻んでブタに食わせたかった。この女は重罪を犯している。罪のない我々姉妹を弄び人権を無視した苛烈ないじめを日々繰り返している。我々の命を蹂躙し生きるというエネルギーを奪い我が物としている。私たちは奴のおもちゃか?私はなんだ?妹はなんだ?お前にとって子どもってなんだ?毎日自分の欲求を満たすための使い捨ての道具なのか?自分が満足できればそれでいいのか?お前はなんだ?それでも親か?もし、その親という偽りの仮面を被りたいというなら、まず我々子どもの意志を尊重しろよ。変態じみて狂ったお前の思考を円滑にさせるためのオイルではないのだ。なぜ、私を生んだのだ。お前のせいで私は他人とコミュニケーションできない人間に成り下がってしまった。そうだ、私はお前と同じ畜生だ。鬼畜なのだ。・・・・こんな風に中学生のころから思っていたわ。だからかな、誰も私という存在に興味をもたなかったし、担任も見放した。私の唯一の楽しみは勉強だった。ただ、私がいつも優秀な成績を収めても母はまったく興味を示さなかった。ただひたすら自分の快楽に浸り子どもを召し使いのように扱った。私たち姉妹に意志をもつことは許されなかった。母と話す、ということが成立しなかった。だから、先に妹が自分の感情を放棄した。それで自分が誰であるのかさえわからなくなってしまった。それ以来私は毎日怖ろしくて怖ろしくて部屋に引きこもるようになった。誰とも話さなかった。いや、話せなかった。誰かが私の心に侵入してくるのではないかと恐怖におののいていた。そんな十代を過ごしていたら生理が止まってしまい、やせ細り思考できなくなってしまった。そんな私を見かねた叔母が私を引き取ってくれた」

 

 

 

あっ、妹さんのお話だったのですね

 

 

 

「・・・・そう・・・・妹は私で妹は私。私は姉でもあり妹は姉でもあるの。・・・・去年、妹は自殺したわ。母は何も言わなかった。私は・・・・私のなかにある感情というものが、引き千切れるのを感じた。何も感じない・・・・まるで自分の魂が抜け出てしまって上から自分を俯瞰しているよう・・・・自分というモノがまるで割れた花瓶のように感じる。接着剤で修復はしたの。でも、何カ所か欠けた破片が見つからない・・・・だから、その開いた穴から、命という水がジョボジョボ溢れている。私という入れ物は機能しなくなったの。もうどこを探しても見つからない。私というよくわからない物体は妹が死んだことで機能しなくなって、まるで時計の短針がなくなって時間を知ることができなくなったような、何の目的をもってこの世に存在しているのか、たださまよい息をして汚物を吐き出してこの世に何の利益も生み出すことができない、そんな存在に成り下がってしまった・・・・私たち姉妹がこのように朽ち果ててしまったのも、すべて、あの有害指定を受けているにもかかわらず今も、今のこの瞬間も私たちの痛みを微塵も感じていない、もう過去の遺物としての記憶としてすら認知していない、あの悪魔のせいなのよ。私たちの慟哭はあの女には届かない。届くはずもない。なぜなら私たちという存在はあの悪女にとって最初から無かったものだから。だからおもちゃとして扱える訳であり自分の子どもという認識はなく、まるで鉛筆を削るように我々を辱め、生じたカスを払うように貶め、適当に使っていらなくなったからそのまま放置してあのメス豚の脳内には我々という存在は跡形もなく流れて消え失せたのよ」

 

 

 

Fさんは、ご自分がまるで花瓶のように感じられるのですね

 

 

 

「そう、私は花瓶・・・・綺麗なのよ・・・・お花が私は好きだわ。いつかその使命を果たしたら始末されるのだから。私はただ生きることも死ぬことも許されない無用の花瓶。誰も私という存在に気づきもしない。だってそうよね。お家のなかをいくら整理整頓していたとしても普段使わないものに常に意識を向かわせるほど人はヒマじゃないでしょう。私には生きるということが無間地獄そのもののように感じられてならないわ」

 

 

 

使命、ですか

 

 

 

「そうよ使命。村上さんにもあるでしょ使命。あなたの使命はなに?クライエントを救うことかしら?そんな聖人君子のような人物なのあなたは」

 

 

 

いえ、私は普通の人間です。不完全な存在であるとも言えます

 

 

 

「へぇ、おもしろいことを仰るじゃない。不完全な存在ね・・・・そんな風にクライエントに言って、あなたと私は対等みたいな感じでダマすのでしょう?そうやって相手を気持ちよくさせてカウンセリングするんだ」

 

 

 

騙すなんてことはありません。ただ私はクライエント様がご自分のことを話したいように話していただき、ご自分がもっていらっしゃる価値観を再確認していただき、現状にもし不満足なのであれば、クライエント様と私の2人で一緒に、どうすれば満足できるのかということについて考え話すことを大事にするカウンセリングという時間を使っていただいております

 

 

 

「聞こえはいいわよね。それで果たしてよくなるのかしら?」

 

 

 

わかりません

 

 

 

「わからない?ほら!やっぱりあなた人をダマしてるじゃないの!!」

 

 

 

人のこころはわかりません。もし私が聖人君子ならわかるかもしれない、「よくなりますよ」って断言できるかもしれません。しかし私はただの人間です。欠けていることが多い不完全なひとりの人間です。だから、不完全な者同士が、力を合わせて歩み助け合いながら進んでいくことによって、その先に両者がまだ見たこともない「成りたい自分」という未来が待っているのだと思います

 

 

 

「そんなの理想論よ。机上の空論。バカらしいわ」

 

 

 

私が今、Fさんにお伝えしたことは私の考えであって理想論だったり机上の空論だったりと、バカらしく感じられることがFさんの自由に感じるという権利であるように私は感じます

 

 

 

「自由?権利?そんなものはないわ。そんなものは幻想でしかないわ。搾取する側と搾取される側のどちらかでしかないのよこの世は」

 

 

 

搾取する、されるですか・・・・今日2回目ですね搾取ということばをお使いになって表現されるのは

 

 

 

「そうよ、搾取以外にこの世の中を成立させる理はないわ」

 

 

 

理、ですか

 

 

 

「そうよ理・・・・人生なんて何の喜びもないし奪うか奪われるかのどちらかでしかない。強者は富み、弱者は惨めに死に絶えていくのよ。私たちには搾取されるという道しかない。絶望するしかないのよ」

 

 

 

絶望するしか選択肢はないとFさんはお感じなのですね

 

 

 

「そうよ!だから言ってるじゃない!!あの女が私の人生を潰したって!!」

 

 

 

ここまでお話されてみてお気持ちはいかがですか?Fさん、大丈夫ですか

 

 

 

「絶望よ。私はこの世にもあの女にも絶望していることを再認識したわ」

 

 

 

Fさんは、今、絶望されているとこころからお感じなのですね・・・・

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

お疲れではないですか?大丈夫ですか

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

ふーっとひとつため息を吐き出したF。いつの間にか熟れたマンゴーのような瞳は退き、ほのかな光が瞳に灯されているように見受けられる。37秒くらいの間がありFが再び話始めた。

 

 

 

「こんなに自分について話したのは初めてです。ありがとうございます、村上さん。数々の暴言お許しください。カウンセリングって不思議ね。自分でも思っていなかった、よくわからない気持ちが出てきて自分でも驚いているわ。だけど改めて自分が普段考えていることだったり感じていることだったりを、あなたに話せてよかった。あなたってタフなのね。私には自由という権利があるのかもしれないって少し思えたわ」

 

 

 

どれくらいですか?

 

 

 

「そうね、1ミリくらいかしら」

 

 

 

 

 

 

 


No. 239 こころのメモ8(ACアダルトチルドレン札幌)
【不安な人3】
  
さて、今回は前回に引き続き
嗜癖をテーマにすることによって
不安
という感情について考えてみたいと思います。
お読みになって頂けましたら
私は嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
  
では、クラウディア・ブラックが提出した
嗜癖の定義を基に考えてみます。
 
嗜癖障害全般の共通点)
 
1.コントロールできない行動パターンで、いったんその物質や行動に携わると、使用を予測することも、自分でやめることもできなくなる。
〔参考文献〕 『私は親のようにならない(改訂版)嗜癖問題とその子どもたちへの影響』クラウディア・ブラック 著/斎藤学 監訳/2004年 誠信書房
 
 
「何か(物質・過程・関係)」を
自分の力だけでは
止められないことで
実生活に支障をきたしたり
人間関係が破綻したり
自分の人生が
望まない方向へ進んでしまうと考えられます。
 
この、
繰り返し負の結果
わかっていながら
得ようとしてしまい
それを
止められないことを
嗜癖(しへき・アディクション)
といいます。
  
嗜癖してしまう人の気持ちとは?)
 
嗜癖してしまう人の気持ちとは
どんな感じなのでしょうね・・・・
 
アルコール、タバコ、薬物、ドラッグ、カフェイン、
ギャンブル、浪費、ゲーム、セックス、恋愛、窃盗、痴漢、
拒食、過食、過食嘔吐、自傷、
人に自分の価値を求める・・・・
 
やりすぎてしまう
人の気持ち・・・・
 
ほどほどに
ができない、感じ。
  
「そうせざるを得ない人の気持ち」
とは、どんな感じ?
・悦び
・さみしい
・孤独
怒っている
不安
・モヤモヤしている
・認めてもらいたい
・“自分”がわからない
・無価値
やるせない
・何も考えたくない
・現実から逃げたい
・怖れ
・他にやる(やれる)ことがない
コントロールしたい
・家族と疎遠
・友だちがいない
・悲しい
焦り
・欲求不満
・人生を諦めている
スネている
憎い
・誰も自分の気持ちは理解できない
・理想が高すぎることを認められない
・責任の取り方がわからない
・自分の感情がわからない
・恥
・自分を殺したい
愛されたい
・隣のアイツがムカつく
・見捨てられる
・問題解決思考
・人に必要とされていない
・思い込みが激しい
・決めつけが強い
自分が正しい。相手が間違えている
・トラウマがある
・愛したい
・生きがいがない
・生まれてきて「よかった」のか?
 
 
「そうせざるを得ない人の気持ち」
について想像してみました。
 
想像していくと、気持ちというよりは
自分”と“何か”との関係性のようにも
思えてきました。
 
 
ではここで、ブラックの定義を参照してみましょう。
 
1.コントロールできない行動パターンで、いったんその物質や行動に携わると、使用を予測することも、自分でやめることもできなくなる。
 
“コントロールできない”ということは、その“何か”を得るまでに、
①意識している
②無意識
③この両者の中間
このような状態なのだろうか。
自分」は①~③のいずれかで
“何か”を得ている?
んん~~
コントロールができない
行動パターン
止められない
人の
気持ち・・・・
そもそも
ソコ
気持ちは
あるのだろうか?
 
 
使用を予測することも、自分でやめることもできなくなる。」
 
仮説ですが、
使用を
予測
することが
できない
ということは
その
前段に
何か
本人にとって
不合理で
不条理な
出来事が
あった・・・・のか?
だから、
ソレ
受け止め切れない
受け入れられないことによって
嗜癖してしまう?
 
それが
繰り返し
引き起こされていると
感じざるを得ない
パターン
なのか?
 
んん~~なかなか
難しいですね。
 
本人にとっての
理解を超えた
出来事って
どんな感じなのだろう。
 
 
 
なこと、なのか・・・・
 
 

 

 


No. 243 こころのメモ12(ACアダルトチルドレン札幌)
 
             【不安な人7】
 
嗜癖(しへき・アディクション)が
止められないのはなぜか・・・・その方の
立場に立って考えてみたくて書いています。
引き続きクラウディア・ブラックが提示した
嗜癖の定義を用いて考えたいと思います。
 
 
(嗜癖障害全般の共通点)
 
2.その行動がもたらす負の結果。
3.負の結果にもかかわらず、やめることができない。
4.耐性と耽溺(たんでき)量の増大→思うような効果を得るために、もっと使用したり、はまったりする必要。
 
〔参考文献〕 『私は親のようにならない(改訂版)嗜癖問題とその子どもたちへの影響』クラウディア・ブラック 著/斎藤学 監訳/2004年 誠信書房
 
 
例)
アルコールに嗜癖している人(20代男性・既婚者)の場合
2.その行動がもたらす負の結果
会社で腹が立つことがあった。しかし、我慢して
「申し訳ありません」と謝らされた。
頭の中は嫌な上司の「役立たずが!」という
叱責が何度も何度も繰り返されるので、
「今日は飲まないから」と昨日妻と固く交わした
約束は頭の隅に追いやられて消えた。
 
3.負の結果にもかかわらずやめることができない
気がつけば、居酒屋の扉を開け
騒々しい店の雰囲気を
「ウワっ!」と浴びる
(ドクンと何かのスイッチが入るのを感じる)。
店員が「何名様ですか?」
「ひとり」とボソリと告げる。
カウンターでひとり
「ぷふぁあーーーーっ!」と
ビールを一気飲みした自分が
“なぜか”いる。
ジュワ―――っ・・・と
体全身にアルコールが沁み渡っていくのが感じられる。
恍惚感がたまらなく気持ちがいい。
幸福感と安堵する気持ちが
ドンドン広がっていく。
上司の顔が、一時的に頭からなくなった。
思考は停止したようだ。それはまるで
ハムスターが全力で駆ける
回転ホイールが“やっと”停止したようだ。
そして、おもむろに
スマホを取り出しゲームを始めた。
(妻には連絡なし)
 
4.耐性と耽溺たんでき量の増大思うような効果を得るためにもっと使用したりはまったりする必要
その夜、帰宅したと“思われる”が
覚えていない。何となく
妻がリビングに居たような気はする。
翌朝、頭痛で目が醒めた。
パジャマに着替え布団に居るが
覚えてはいない。
妻が起こしに来たが
会社を休むと告げる。
(妻が社に連絡)
昼過ぎに起床。
何となく憂うつで
よくわからないが
こころ
みたいな抽象的なモノが
痛むような気がしてきて、
ジワジワと不安のような
怖れのような
得体の知れないモノが
近寄ってくるのを感じる。
昨夜味わった
幸福感や安堵の
残骸すらない。
それはまるで
子どもの頃
仲の良い友だちが
去ったあとのような
酷くさみしい
感覚に近い気もする。
そうして気がつけば
ひとり
冷蔵庫を開け
“ぷしゅぅ”と
ビールのプルタブを引っ張った。
(妻はパートで不在)
そして、おもむろに
スマホを取り出しゲームを始めた。
 
  
お読みいただき
ありがとうございます。
読まれてみていかがですか。
 
こんな風にアルコール(これ以外のモノもや過程も当てはまる)に
依存し止められない人の気持ちとは
どんな感じなのでしょうね。
 
私は、依存そのものを問題として
それを止めさせようとしても
失敗するのではないかな、
なんて考えています。
 
なぜか。
 
その人の
気持ちが大事だからです。
 
何かに
依存(嗜癖
せざるを得ない
理由が
その人の中に
あるのではないかなと思っています。
  
カウンセリングを通じて
私がクライエントに感じるのは
ひどくこころが傷つき
自分が
自分を
粗末に扱っているように
見えるときがあります。
 
自分は無価値な存在だ
生きているのが
恥ずかしい
 
 
こんな想いを
抱えながら
いつまで続くか
わからない
人生を
重たい体を引きずりながら
必死になって
進まざるを得ないような
そんな
逃げ場のないような
ひとり
孤独
闘いながら
それでも
1ミリくらいの
光明を
探しながら
生きているような
真面目な方
多いのではないかなと
思っています。
  
少し角度を変えてみてみると
そのような方は
自分に
厳しく
妥協がなく
理想が高く
あまり
ほめられた経験が
ない
人のようにも感じます。
  
完璧主義
  
と呼ばれる人がいるなら
何かに嗜癖してしまう
人の多くが
該当するのかな、って思っています。
  
私が考える
完璧主義とは
 
自分以外の人には絶対わからない
その人だけの独自の 
ルールを自らに課し
日々それを達成しようと
限界をもうけずに
思考し
行動を続けてしまう人
 
であると定義しています。
 
 
いかがですか?
あなたがイメージする
完璧主義と違いはありますか。
  
このように、まるで
自分を
追い詰めるように
強迫的
ひとり
考え続け
行動を止められないことによって
 
こころに
 
逃げ場がなくなって
苦しくなり
誰にも
わかってもらえず
自分が
自分を
手に負えなくなり
“何か”に
依存(嗜癖)するのではないかなと
私は考えています。
こころの安らぎを求める
 
 
 

No. 244 こころのメモ13(ACアダルトチルドレン札幌)
 
             【不安な人8】
さて、昨日は嗜癖(しへき・アディクション)を
止められない人は
完璧主義』である可能性があることを
お話しました。
  
私の考えでは、子ども時代に
こころが傷つき、その傷が癒えていないことで
大人になってから、その
苦しみや痛み、孤独感や無価値感、
生きづらさみたいなものを
埋め合わせるもしくは
見ないようにするために
何か
依存(嗜癖)してしまう
パターンがあるように
私は考えています。
 
そのパターンが苦しいために
こころに
逃げ場がないので
何かに
嗜癖してしまう・・・・
真面目な方が多いと思われますから
そんな
止められない
自分を
許せない、
怒りが
自分に
向けられているようにも
見受けられます。
 
ただ、そのご本人は
嗜癖
したくて
しているわけでは
ない
ようにも思うのです。
 
それが
ACの概念を
根拠とする
考え方となるわけですが、
きっと
嗜癖している
本人に
かかわりのある
人々にとっても
「はぁ?何を言ってるんだ?」と
怒りを覚えるのではないかとも
思います。
 
その怒りを覚える理由として、
本人は
「もうしない」
と反省し、時には
涙しながら
後悔とともに
周りの人々に
固く
誓いを立てて
二度と
嗜癖しないことを
約束しているかと
思われます。
 
ところが・・・・
 
そうですよね
あなたが
思われている通り
その
約束が
守られることは
ない
破られ続けている
現状かとも思います。
 
なぜなのでしょうね・・・・
 
なぜ繰り返し
嗜癖してしまうのでしょうね。
 
嗜癖してしまう人の
気持ち
って
どんな感じなのでしょうね・・・・
 
 
嗜癖が止められない人の相談内容)
※ACカウンセリングを“卒業”(終了)された
元クライエント(30代女性)様のセッションを
抜粋させていただきます。
ご本人にはご了承いただいております。
 
__________________
  
子ども時代はどんな感じでしたか。
 
「父はアル中でした。ギャンブル依存もありました。シラフの時はとても優しくて、世界一大好きな父でした。でも、お酒を飲むとガラリと変わってしまって・・・・まるで二重人格のように、暴言や暴力を振るうので、私はいつもビクビクしていました。そんな父を母はなだめようとするのですが、暴力を受けるので、私はいつもそれを見せられていました。私はお酒が憎い、ギャンブルなんてこの世から消えてなくなればいいと願っています」
 
お父様はお酒を飲まれると変わってしまうのですね・・・・
 
「はい、目つきが変わり優しい父はどこかにいってしまいます。何を言っているのかわからないですし、いつ私に被害が及ぶか怖かったので不安で仕方がなかったです。自分の部屋にいると両親の言い合いが始まるのがすぐにわかり、布団にもぐり込みました。モノが壁に当たって壊れる音や、父の怒号、母の悲鳴がいつも絶えなかったです。しかし父は自分がしたことを翌朝覚えていないのです。また優しい父に戻っていて、ごめんなごめんなと私に謝ります。もう二度としないと約束するのですが、その約束は守られたことはありません。そんな状態が何年も続いたので、母はうつになってしまい離婚しました。だから、私は私の家庭を壊したお酒とギャンブルを憎んでいます。でも・・・・」
 
でも?
 
「私は20代で子どもができてしまったので、やむなく結婚してしまったのですが、その結婚相手が実は、アルコールに依存してパチンコにも依存していることが結婚後にわかったのです。とてもショックでした。なぜ・・・・なぜ憎んでいるモノに依存している相手と子どもを作ってしまったのか・・・・なぜ見抜けなかったのか・・・・後悔しています。本当に悔やんでいます。夫は普段は真面目に会社員をして勤めてくれているのですが、お酒を飲むと豹変します。口調が変わり、まるで父のように暴言を吐きます。ただ暴力はないのですが、モノに当たるので、家の中が破壊されたりお皿などが割れて大変なのです。まだ幼い2人の子どもが、小さかったころの私のように、夫と私のやり取りを見聞きしているので、どこか自信がないというか、引っ込み次案というか、ハッキリものを言わない性格なような気がして、子ども達の将来がとても不安なのです」
 
__________________
  
お読みになって
ありがとうございます。
お疲れさまでした。
 
読まれた感想はありますか?
 
以前の、この元クライエント様は
何に嗜癖しているのでしょう。
 
そうです。
です。
 
旦那さんはアルコールとギャンブルに
嗜癖しているのは明白ですが
奥さんである
元クライエント様が
人(夫)に
嗜癖(依存)しているだなんて
不思議な感じがしますよね。
 
そうですね、会話のなかで
繰り返し
憎い不安という
ことばが出てきています。
 
元クライエント様の
お父様と
似たような相手と
子どもを作ってしまったと
後悔もされている。
(後悔しつつも2人子どもが
いるところに、人間“らしさ”を
私は感じます。なぜなら、
人は理屈や理論で
生きているわけではないと
私は考えているからです)
  
そんな
家庭(原家族)を壊した
憎い
父親の幻影のような
相手と
また
自分自身が
家庭(現家族)を
もうけている
現実。
 
このような
現実』が
カウンセリング開始当初は
生きづらさになっていて
消えてなくなりたいとまで
言われていました。
 
 
人に
依存してしまう人の
気持ちとは
どのような感じなのでしょうね・・・・
 
 

 


No. 245 こころのメモ14(ACアダルトチルドレン札幌)
 
                【不安な人9】
 
前回は、元クライエント様の
カウンセリング内容を抜粋して
依存(嗜癖・アディクション)してしまう
ことについて、セッション内容を通じてみてみました。
今回も引き続きお付き合い頂けましたら
私は嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
 
 
__________________
 
 
とてもショックなのですね。
 
「はい、だって憎んでいる相手と似ている人と子どもを作ってしまったんですよ?あり得ないじゃないですか!・・・・ああ、私バカだって・・・・どうしてわかってたのに・・・・いや、でも子どもができる前から彼は誠実で私をとても大事にしてくれていたんです。あ、いや、今も大事にはしてくれてるんです。だけどお酒を飲むと人が変わるんです。子どもができたから言ってくれたんです結婚しよう、って。すごく嬉しかった・・・・私それまで自分が結婚なんてできない、したくないって思っていたから、まさか自分が結婚できるだなんて思ってなかった。だから、彼が結婚しようって言ってくれたことが、生まれて初めて大事にされてるって実感できた。でも・・・・それからしばらく経って、彼の酒グセのことがわかったんです」
 
彼は、◯◯さんのことを大事にしてくれているのですね。
 
「・・・・お酒・・・・酒さえなければ・・・・結婚しようって言ってくれた次のデートでの食事で、彼はお酒を飲みました。いつもなら飲まないから、アレ今日はどうしたのかな、気分転換なのかなって内心思ったのですが、口には出しませんでした。最初は、カンパーイなんて、結婚や子どもを授かったことで嬉しかったから彼も私も機嫌がよかったんです。でも、二杯、三杯とお酒が進んでいくにつれて、彼の様子がだんだんオカシクなっていったんです。まるで、父をみているような・・・・それまでは、これからのことについて話してたのに、だんだん過去の話になっていって、私の恋愛話になって、気がついたら私がなぜか責められたんです」
 
責める?
 
「はい、私が今まで付き合ってきた男性はどんな人だったとか、私がどんな風に相手に接したかとか、もうホントどうでもいい話で責められたんです。グジグジグジグジ過去の男の話なんて正直覚えてないですし、私は彼だけを見てるのに、彼は過去の私を知らないから、過去の男たちに嫉妬したんです。あーーーもう、本当めんどくさい!!」
 
彼は、お酒を飲まれたことで◯◯さんが過去にお付き合いされた男性たちに嫉妬する気持ちが出てきたといったところでしょうか。
 
「いや、っていうか彼は私を責めたかったんだと思います。それも過去のどうでもいい男の話なんかで私を追い詰めて、自分の不満を私にぶつけてきたんです。そんなホントくだらないどうでもいいことなんで、私はただ謝ってやり過ごしてたんです。そしたら突然テーブルをバンっ!!って叩いて『聞いてんのかよ!!』って怒鳴ったんです!お店なのに!もう、ホントあり得ないじゃないですか!だから私もう本当にビックリしちゃって、言葉がでてこなくて、それでも彼は目が据わって私のことニラみつけて何か興奮してるんですよ。もうホント父みたいで・・・・」
 
お父さん・・・・
 
「・・・・父は毎晩のように、飲んでいて母を正座させて自分の話を聞かせていました。母は慣れているので適当に相づちを打ったり頷いたりしていたんですが、突然キレるんですよ父は。『お前はオレの話し聞いてんのか!!』って。それが合図で手が飛び母は殴られるんです。よけないんですよ母は。私は絶対嫌ですそんなの。無理です。だけど母は、わかっているのに父の相手をする・・・・母の口癖は、『あの人は、ワタシがいないとダメだから』でした。・・・・ああ嫌だ、私・・・・母のようになりたくない」
 
__________________
 
 
お読みいただき
ありがとうございます。
お気持ちは大丈夫でしょうか。
 
元クライエント様が、カウンセリングを受け始めた時の
ご様子についてセッションを通じてみているわけですが、
 
「わかっている」
 
ということが前提としてありながらも
してしまう(してしまった)
してしまう“かも”しれない
ということに対する
怖れ
あるようにも見受けられます。
  
あなたはお読みになって
何か感じられることは
ありましたか。
 
 
なぜ、人に依存してしまうのか・・・・
 

 


No. 246 こころのメモ15(ACアダルトチルドレン札幌)
 
            【不安な人10】
 
前回も元クライエント様の
カウンセリング内容を通じて
依存してしまうことについて
みています。
 
いつも長文になり
ごめんなさい。
今回も引き続き
お読み頂けましたら
私は嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
 
 
__________________
 
 
お母様の口癖は、『あの人は、ワタシがいないとダメだから』だったのですね。
 
「はい・・・・(少し考えて)母は、いつも父のことばかりでした。口はへの字で笑顔はなく、私にかまってくれませんでした。でも、弟や妹には普通なんですよ?普通にお菓子あげたりおもちゃ買ってあげたり・・・・私はいつも、『アンタは~してからね』『アンタはテストでいい点取ったらね』『お手伝い終わったらね』とか言われて、・・・・普通にできなかったんです」
 
普通にはできなかったのですね。◯◯さんの「普通」ってどんな感じなのでしょうね。
 
「・・・・(うつむいて30秒ほど経って)甘えられなかった・・・・私一番じゃなかったんです。だから・・・・(泣いて)いつも、くやしかった・・・・さみしかった・・・・(1分ほど泣いて)私は、どうして母が私のことみてくれなかったのか、意味がわからなかった・・・・」
 
(見つめて)・・・・
 
「・・・・だから、いつもママがアタシのことどう思ってるのかわからなかったし、知りたかった。だけど、ママはいつもパパやきょうだい達ばかりで、アタシのことみてくれなかった・・・・だから(泣いて)アタシはママの真似するしかなかったの・・・・アタシおかしくなっちゃう・・・・」
 
◯◯さんは、お母様がどう思っているのかわからなかったのですね。自分だけが見てもらえなかったとお感じになっているのですね。
 
「・・・・私は、自分を大事にしたいんです。母みたいに自分を殺したくない。父の犠牲になりたくない!嫌だ、イヤだよう・・・・だけど、・・・・私も夫の犠牲になるんでしょうか?」
 
犠牲・・・・
 
「ヤダ、そんなの嫌です。どうして結婚したのか・・・・私もっと自由がよかった。せっかく実家出てひとりになれて、専門行って友だちもできて、それなりに遊べてて、就職してやっと自分の人生始まった、さあこれから!って時に子どもできたんです。私やっと、やっと自由になれたのに・・・・どうして・・・・なんかまた、崖から突き落とされた感じ?足かせ外せたのに・・・・やっぱり自分なんてうまくいかない、誰かの犠牲になる人生なんだ、何やってもダメなんだって思いました」
 
 
__________________
 
 
お読みいただき
ありがとうございます。
お気持ちは大丈夫でしょうか。
 
 
元クライエント様とされましては
お母さんのように
自分を
犠牲にしたくない
もっと
自由がよかったと訴えられています。
しかし、
足かせ
が自分にはあるように
感じられて
自分が自分の
思う通りに
人生を歩めていないように
感じられているように
見受けられます。
それを証明するように
お父さんと似ているように感じられる
旦那さんと家庭をもっている
今の
自分
であるように
感じられていて、
なぜ
自分の人生なのに
自分から
進みたくはない方向へ
進んでしまっているような
自分
を感じられることで
グルグル思考がめぐっている
ご様子が見て取れます。
 
 
ただ、私からみると
感情に焦点を当てられているように
見受けられますから
少しずつ
抑圧してきた
つまり
我慢してきた
思いが
出せているのかなって思います。
 
  
足かせって何でしょうね・・・・
 
  

 


No. 247 こころのメモ16(ACアダルトチルドレン札幌)
 
           【不安な人11】
 
前回も、元クライエント様の
カウンセリング内容を通じて
足かせ
というキーワードに行き着いたのですが
アダルトチルドレン(AC)であると
自認もしくは否認している人々がもつ
 
意識
 
何かひとつの
かたまりのような
それでいて
薄い壁で隣り合っているような
不思議な感覚を
足かせという
キーワードには感じます。
 
 
いつも長文になり
ごめんなさい。
今回もお読み頂けましたら
私は嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
 
では、引き続き
カウンセリング内容をみてみましょう。
 
__________________
 
 
足かせ、ですか。
 
「はい、・・・・私は、私の考えがほしかった。子どものころから何か地に足が着いていないというか、いつもモヤっとしているというか。それでいて、いつも目の前では見たくない出来事が必ず私にだけ起きるというか、一体何なの?という感じがしていました。何か、それって冷たい感じがするんですよ。なんかナイフみたいにまったく温かみがなくて、だけど触りたくなるような変な感じなんです。だからいつも、嫌だ嫌だと思ってましたし、そんな私を周りはヘンな子どもだと思っていたでしょうし、だから私はいつも相手がどう思っているのかすごく気になるっていうか・・・・なんか、怖いっていうか・・・・」
 
怖い
 
「・・・・なんか、強くなりたかった。ブレないっていうか、軸?みたいな確固たる自分みたいなものを、ずっと探してるっていうか・・・・なんか恥ずかしいんですけど、それは今でもあって、私なにやってんだろって毎日思ってて・・・・どうして自分っていつもこうなんだろ?なんで私にばかり嫌なことが起きるの?って考えても答えは出ないっていうか・・・・だからかな、旦那みたいに単純っていうか、いつもお酒ばかり飲んで嫌なことから逃げて、自分の好き勝手やってる人をみると、すごく腹が立ちます」
 
確固たる自分みたいなものが感じられないから、好き勝手やっている人に腹が立つといったところでしょうか。
 
「って言うか、私だって自由にやりたいんだよ!っていつも思ってるんですけど、言えないで我慢してるっていうか、なんで私ばっかり負担させられて、人の、・・・・人の犠牲になって(一瞬目に光りが戻ったように)・・・・私は母のようには絶対、絶対にならない。だけど、・・・・なんでかな・・・・今の私には足かせがあって、気がついたら母みたいになってて・・・・(13秒ほど考え)本当嫌なんです。誰かの犠牲になるのは」
 
嫌なのですね犠牲になるのは。◯◯さんが言われる犠牲ってどんな感じなのでしょうね。
 
「・・・・」(沈思黙考したように。1分12秒ほどして)「自分がない感じです。そう、ないの・・・・いつも主語が私ではないというか、誰かのことばかり考えてるっていうか・・・・そこに私の意志みたいなものはないというか・・・・私の居場所はないっていうか・・・・母はいつも家のなかでせわしなく動いていました。一体何に向かっていっているのかわからないけれど、ひたすら真っ直ぐ進んでいって、だけどいつも何か大事なものは忘れてるっていうか、母自身の気持ちがよくわからないというか、何を考えているのか知ることはできないというか、・・・・そう、話せないんです。何か母とは会話にならない。いつも、私が何か言ってもはね返されるというか、壁か何かに投げてるっていうか、誰も私のことなんてわかってくれないっていうか、そもそも私の気持ちなんてあったの?って今にして思えば子どもだったころの自分が思い出せないというか・・・・だけど、たまに母が『アンタこれやっといて』って穏やかな顔で私に頼みごとをしてくれる時があって、いつもそうならないかなって期待するというか」
 
期待
 
「また今日もダメ、また今日もダメだったって、いつも自分の思うようにはならないというか、・・・・なんかバカみたいとか思うんです、だけどまた同じことを繰り返してしまうというか、気づいたら期待してる自分に後から気づくというか、いつも乗りたかった電車のドアが目の前でガシャンと閉まるというか、ひとり置いてけぼりになってひとりぼっちになって、だからって誰も迎えにはきてくれないような、どうしたらいいのかわからないっていうか、もう次の電車は来ないって感覚的にわかってるっていうか、ああ、私捨てられたんだなっていう思いが毎日繰り返されるっていうか・・・・(顔が強ばって)だから、私は何でも自分でできなきゃダメ、誰も助けてはくれない、期待したって自分の望みが叶えられることは絶対ない、こんなことが一生続くのかって、・・・・・・そう、・・・・絶望したんです」
 
 
 

 


No. 248 こころのメモ17(ACアダルトチルドレン札幌)
 
         【不安な人12】
  
絶望、ですか・・・・
 
「・・・・私だけなんか差別されてる感じなんです。疎外されてるっていうか・・・・大事なことほど知らされないというか、いつも家族の輪に入れてもらえなくて、知らない間に事は進んでいたり事後報告だったりします。だから私はいつも、次になにが起こるのかを予想というか、特に親の動きや発言を監視しているような気分でした。おかしいですよね?なんで子どもが親を監視してなきゃいけないのか・・・・親が何考えてるか全然わからなかった。父は夜になったら酔ってキレるし母は暴力を受けるし、いつも実家はお酒を中心にしてお酒に振り回されている感じでした。それにパチンコも・・・・もう絶対しないが父の口癖でしたが、絶対は『またヤル』にしか聞こえません。私は何も信用できない」
 
◯◯さんとされましては、ご自分に「足かせ」があるように感じられていて、それは旦那さんがお酒を止められないことだったり、子どものころに味わった絶望感だったりが、大人になった今でも感じられるようで、ご自分もお母さんのようになってしまうのではないかという怖れを感じていらっしゃるというところでしょうか。
 
「・・・・(うつむいて)誰も、私のことなんてわかってくれなかった、・・・・いや、わかろうとしてくれなかったんです。旦那は出会ったころは積極的に私を知ろうとしてくれていたように感じていたのですが、お酒のことが発覚して以降は、どこか人が変わってしまったというか、いや違うな、・・・・普段優しいんですが、やっぱりお酒が入ると人格が変わってしまい、『心ここにあらず』というか、やっぱり私のことを見てくれてない気がするんです。だから旦那も私のことなんてわかろうとしてくれないんです。私はひとり、まだ小さい年子の息子ふたりの面倒を働きながらみなくてはいけません。実家には頼れないし、近くに相談できる人、頼れる人なんていないから、・・・・やっぱり私の人生って絶望するしかないんだなって、話してて思いました」
 
おひとりで息子さんおふたりの面倒をみられているのですか・・・・おひとりで・・・・
 
「どうして私ばっかりつらい思いをしないといけないんでしょうか?どうして・・・・どうして幸せになれないんでしょうか?私の何がいけないんでしょうか?・・・・誰も答えてくれない・・・・(涙が流れて)・・・・こんな生きてても何もいいことないなら、いっそのこと消えてしまいたいです。どうせ私なんかがいなくなっても誰も困らないだろうし、気づかれもしないと思うので。・・・・(タメ息をついて)・・・・はぁ・・・・だけどなんでだろうな、・・・・なんか悔しいんですよね。なんでかわからないんですけど、胸がムカムカして、お腹のなかで何かが暴れているような感じがするんです。わかってくれよ!わかってくれよ!このままじゃ惨めすぎるって。・・・・全部放り出して消えたいけど、それもなんか子どもたちがいるし、私が死んだら迷惑かけるだろうし、私の人生何もいいことないまま死んだら、私が可愛そすぎるって・・・・どうしてこんなことになったんだろう」
 
 
 

 


No. 249 こころのメモ18(ACアダルトチルドレン札幌)
 
            【不安な人13】
 
「なんか・・・・そう、・・腹立つんですよね。・・・・(うつむきながら、ふぅーっと息を吐き出し)ずっと私は、見てたんです。いや、見せられてたんです。ずっと立ってた。いつも目の前で父は母を殴ってて、大きな声を出して何言ってるかわからなくて、耳ふさいでも止まらないんです。もう止めて!!って私が叫んでも続いていて、だから私は逃げ出したくて動こうとするけど動けなくて体が震えて自分じゃどうすることもできなくて。なんか寒くて・・・・そんなことが子どものころから何年も続いてたから私は何も感じなくしよう、自分が感じてることは嘘だからって言い聞かせて・・・・頭をまっ白にさせて、目に映るものは自分には関係がなくて、勝手に再生される映像で私には関係ない、私は自由私は自由って言い聞かせて・・・・なんかいつも真っ暗な底辺の底の底から上を見上げてて、遠くの上の方に光りが差してて、たまに誰か通るんですよ。そしたら必死になって『おおーーーい!おおーーーーーぃ!!!ここだよーーー!ここにいるよーーーーーーーっ!!!』って呼ぶんですけど、誰も助けてくれなくて・・・・・うつむいてタメ息ついて『どうしてこうなっちゃったんだろう?』って繰り返しで・・・・だから私の願いなんて絶対叶わないんだって思うしかなくて、子どものころからずっと、・・・・(涙がスーっとまた流れた)わ、わたしはわたしだけが・・・・が、我慢しなくちゃいけ、いけなくて・・・・(ティッシュで涙を拭き鼻をかんで)・・・・こんな私なんて価値ない、誰も振り向いてくれない、私のことなんて誰も正面から向き合ってくれないって・・・・ギュって(声にならない)・・・・ウぅ・・・・ママに抱きしめてほしかった・・・・(しばらく泣く)」
 
・・・・大丈夫ですか、◯◯さん?
 
「・・・・(泣いている)・・・・」
 
とても貴重なお話をしていただいて、ありがとうございます。お気持ち大丈夫ですか?目が痛いですよね・・・・よく話してくださいましたね。◯◯さんの気持ち、こころからの声が聞けたようで、私は嬉しいです。ずっと、子どものころからひとりで我慢されてきたのですよね。ひとりで・・・・きっと、おつらかったですよね。苦しかったですよね。さみしくて誰かに助けてもらいたかったですよね。だけれども誰も振り向いてはくれなくて、「どうしてこうなっちゃったんだろう?」って考えても答えはでなくて、いつもお父さんとお母さんのご様子を見せられていて、逃げることはできなくて、こんなことが一生続くなら、自分の気持ちなんて何も感じなくさせようって、必死になって◯◯さんなりに工夫されて今まで生きてこられたのですよね。・・・・よく今まで我慢し続けてこられましたね・・・・お母さんにギュって抱きしめてほしかったんですよね。
 
「(泣いたまま頷く)」
 
ずっと、誰にもわかってはもらえなかったのですよね・・・・
 
「・・・・(ティッシュで目を覆っていた手を離し少し顔を上げて)・・・・一度だけ私、止めようとして・・・・父が母に馬乗りになって殴っていたことがあって、それを後ろから止めようとして父の腕をつかもうとしたら『あっち行っとけ!!』って払われて、その勢いで私は壁に打ち付けられて、・・・・すごく痛くてショックで・・・・恥ずかしいんですけど・・・・失禁してしまって、しばらく動けなくて・・・・でも暴力は止まらなくて・・・・ああ・・・・私は無力だ、私なんて何もできないんだって思って・・・・父がパチンコで負けてお金がなくなると、母に連絡が入り『金もってこい』って言われ、たいてい私がお金を父に届けなきゃいけなくて、・・・・あのパチンコ屋さんの音が嫌いで、騒音のなか必死で父を探して、タバコ臭いしみんなパチンコ台を睨みつけたりなんかうっとりしてたりして、異様な光景なように思えて早くここから逃げたいパパどこ??って、やっと見つけたと思ってなぜか嬉しくなってパパって父に抱きついたら『金』って言われて私のこと見向きもしないで言われて、なんか私はショボンってなってお金をそっと台において走って外に出て・・・・ああ、アタシなにやってんだろう?って思って・・・・(涙は乾いていて何かを見つめて)・・・・そんな家族が、・・・・私は恥ずかしくて・・・・子どものころから友だちに家族の話はできなくて、仲よかった子のお兄さんがデキがよくて、勉強とかスポーツとかできる人で、そんなきょうだいがいるその子のことがうらやましくて、でもどこか嫌いで・・・・授業参観とかに母がくるのがすごく嫌で、なんか貧相でやつれてて輝いてないっていうか、他のお母さんたちは綺麗で元気そうで私の母だけがなんか暗いオーラ出してて、だから見られるのが恥ずかしくて・・・・私には兄がいるんですけど、早々に実家を出て、今じゃ音信不通でどこに住んでるのかも知りません。・・・・ああ、どうしてこうなっちゃったんだろう。私、これからも我慢して生きていかなきゃいけないんでしょうか?・・・・ヤダな、そんな人生・・・・何もいいことなんてないな・・・・どうして私、生まれてきたんだろう?どうして私の家族はバラバラになっちゃったんだろ?どうして・・・・」
 
 
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ここまでお読みになって頂き
誠にありがとうございます。
大変お疲れさまでした。
お気持ちは大丈夫でしょうか?
 
 
こちらの会話形式(カウンセリング場面)の投稿を
お読みになって、カウンセリングの
お申込をくださる方が増えています。
ご自身の体験を投影されるからでしょうか、
対面やお電話なんかで
長年ためてこられた想いを
吐き出すように
たくさんの方々がお話されています。
 
何かに依存せざるを得ないのだと
私は思います。
そのことを問題にしても
きっと解決はできなくて
問題がもしあるのだとしたら
別のところにあるのかなって思います。
  
基本的に
人の
こころ
わからないと
私は思っています。
 
だけれども
少しでも
その方の
こころに
近づくことが
できたらなと思い
カウンセリングという
仕事をさせて頂いております。
 
 
依存
ということばを使っていますが
 
あなたが
 
何か
 
 
執着せざるを得ないのなら
 
きっと
それが
あなたが選ぶ
幸せなのかなとも思います。
 
ただ
それによって
 
「本当に我慢していること」
 
解消されないと思います。
  
別のところにある
問題があるなら
それは
子どものころの
 
自分
子どもらしく
「子ども」を
やらせてもらえなかったことが
大人になった
 
 
こころの
なかに
問題
という
なにか
得体のしれない
モノとなって
あなたを
苦しめているのかなって
私は考えています。